上田昌良
登録日: 2005.02.07 記事: 3090 所在地: 大阪府
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日時: Wed Jul 12, 2017 11:46 am 記事の件名: 2017年5月18日3:45:49JST 速度が遅く、高高度に出現の同時流星。正体は低高度人工衛星 |
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速度が遅く、高高度に出現の同時流星。正体は低高度人工衛星
2017年5月18日3:45:49 JST出現
報告:上田昌良
「同時流星計算用CSVハブ」からファイルをダウンロードして、2017年5月分の同時流星を計算していました。計算が終わると異常な流星が得られていないかを調べることにしています。
5月分の中に出現の高さが185 kmもある異常な高高度の同時流星を見つけました。その同時流星は観測速度が地球の脱出速度(11.19 km/s)よりも遅いものでした。この時点でこれは流星ではないと判断しました。
しかし、できる限りのことは調べておくことにしました。そこで、この現象を撮影した横道氏(岡山県、M17026)と米口氏(石川県、M17027)から測定ファイルをいただき詳細な計算作業をはじめました。軌道計算をしようとした所、M17026は5カ所しか位置測定ができておらず、これではフレームごとの詳細な観測速度が出せません。M17026の中身をみますと131フレームが測定可能でした。横道氏からは動画などファイル一式の提供がありましたので、こちらでUFOAnalyzerV2にて測定処理をすることにしました。手動測定をするにはこの現象の動きが遅いためフレームごとの撮影像にカーソルをうまく合わせることができそうにありませんでした。まず比較星の確認からはじめたのですが、身についた習慣とは恐ろしいもので、無意識に自動測定をクリックしてしまいました。そしたら多くのフレームの流星位置測定ができていました。ラッキーでした。
どちらか一方の撮影画像が多くのフレームの位置測定ができておれば詳細な速度の計算ができます。それでM17027の方も4カ所しか位置測定ができておりませんでしたが、この4カ所で軌道計算を進めることにしました。
計算の結果から速度の減速もみられませんでした。それで各フレームの観測速度を単純平均したら、V∞= 8.3 km/s ±3.3 km/sとなりました。この現象の高さは写り始めが 185.2 km、写り終わりが184.8 km、高さにはほとんど変化がありません。もし、地上185 kmの高さを円軌道で回っている人工衛星があれば、その速度が7.79 km/sとなります。以上のことから今回の現象は流星の下限の観測速度(11.19 km/s)を下回っており、写り始めと写り終わりの高さがほぼ一定だったことから、この現象は人工衛星ということがほぼ確実だと思われます。
ではこの現象の人工衛星の名称は何だったのでしょう。インターネットで検索をしてみましたら、この時刻付近に岡山からみて人工衛星「天宮2号」がカシオペヤ座を通過していた。しかし、人工衛星「天宮2号」は高さ約400 kmの所にあり、高さが著しく違っているため、今回の現象の正体ではないようです。
今回の現象の人工衛星の名称はわかりませんでしたが低高度を回る人工衛星だったことは確かだと思っています。
最後に撮影された現象の位置測定データ等を提供してくださった横道氏と米口氏に御礼申し上げます。
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