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龍座φ流星群の検証

 
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投稿者 メッセージ
司馬康生



登録日: 2005.11.26
記事: 2161
所在地: 明石市

記事日時: Sat May 28, 2016 8:35 pm    記事の件名: 龍座φ流星群の検証 引用付きで返信

龍座φ流星群のSonotaCo Netwokデータを使った検証

 長谷川一郎氏による2016年3月19日、十三塾での紹介「龍座φ流星群, φDraconids」に対して、SonotaCo Networkの観測による2007?2016年の10年間の観測データを使って検証を行った。

元データ
 SonotaCo Network のcsvアップロードサイトのデータを使った。調査期間は3月20日?4月20日(日本時)の間とした。この期間について、修正輻射点α=220?350°、δ=+50?+80の範囲を切り出した。

結果
 輻射点分布(左上)、太陽?径?輻射点赤経(右上)、太陽?径?輻射点赤緯(左下)、太陽?径?地心速度(右下)では該当する位置に明確な集中は見られない。よって、この10年間に散在流星と分離できる明確な活動は認められなかった。

別の新群
 図では、別に小さな輻射点の集中が見られる。該当する流星として11個を抽出した。出現期間は太陽?径でわずか1°だけ(4月5?6日頃)なので、その夜の天候が悪い場合全く観測できなくなるだろう。IAU MDCには該当する記載はなかった。よって未知の小流星群と思われる。軌道は良く集束しており、彗星起源の小流星群を想起させる。”JPL Small?Body Database Search Engine”により起源の可能性のある天体を探したが、見つけられなかった。DrumondがφDraとの関連を指摘したとされる、C/1954Xの軌道はφDraよりはこちらに近いが、昇交点?径が10°以上違うなど母天体とするには疑いがある。なお、表のC/1954Xの段の輻射点、地心速度は軌道に基づく予報値である(計算は長谷川氏)。

ところで、このような存在を認定するかどうかの境界線上にある流星群(?)について、どういう基準で「流星群」と認めるか、もう少し議論が必要かと思いまして、新流星群としての申請は見送ろうかと思います。
(以上、2016.5.28十三塾での発表を元に報告)



.gif
 説明:
輻射点領域(左上:赤経?赤緯、右上:太陽?径?赤経、左下:太陽?径?赤緯、右下:太陽?径?対地速度)

ダウンロード
 ファイル名:  .gif
 ファイルサイズ:  79.28 KB
 ダウンロード回数:  133 回


.csv
 説明:
別群のリスト(11個)

ダウンロード
 ファイル名:  .csv
 ファイルサイズ:  1.48 KB
 ダウンロード回数:  125 回

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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Sun May 29, 2016 7:22 am    記事の件名: Re: 龍座φ流星群の検証 引用付きで返信

興味深いレポートありがとうございます。 見つからないという話は記録になりにくいですが、大事なことと思います。

司馬康生 wrote:

ところで、このような存在を認定するかどうかの境界線上にある流星群(?)について、どういう基準で「流星群」と認めるか、もう少し議論が必要かと思いまして


実は、最近、このことばかり考えています。今年中に自分なりの結論を出したく思っています。
統計上の有意な集中とはどういうものか、存在確率を数値で表現することができないか、勉強したく思っています。
参考文献などありましたら、ご紹介頂けると嬉しいです。
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司馬康生



登録日: 2005.11.26
記事: 2161
所在地: 明石市

記事日時: Sun May 29, 2016 7:37 pm    記事の件名: 「流星群」の認定基準 引用付きで返信

理想的には、「確率99.・・%で、α・・、δ・・、極大・・、活動期間・・、の流星群が存在する」
という表現ができるデータ処理ですね。
対照する散在流星の分布確率を基準として理屈では計算できそうですが、対象とする時期、天球位置、流星速度を変数とする関数となり、これを求めるのが至難の業に思えます。
天候の不安定などによる観測分布の定量化しにくいばらつきや、撮影群流星のうち誤差で広がった成分の除去など、処理困難な要素を乗り越えられるか自信が持てません。
毎年のように出現する小流星群と、単年だけの突発でも処理の考えが違いそうです。
ただ、これができれば、IAU MDCの「established」より信頼してもらえるだろうと想像します。
あまり参考にならない話でした。
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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Mon May 30, 2016 7:42 am    記事の件名: Re: 「流星群」の認定基準 引用付きで返信

司馬康生 wrote:
天候の不安定などによる観測分布の定量化しにくいばらつきや、撮影群流星のうち誤差で広がった成分の除去など、処理困難な要素...


なにか、言わされているような感じですが、
すごく近い話を今回WGN44-2に書きました。引用すると

イントロではまず、
....
Developments in automated video meteor observation systems have made possible long term observation with high constancy and continuity.
...
For these observations, problems of bias that affect optical meteor observation, due to weather conditions, lunar phase and the night time solar longitude range, are now almost overcome.

と このための10年間の観測だったような雰囲気で、誤差については

However, the measurement accuracy problem has not yet been solved satisfactorily.

というイントロと
....
We now have the final piece of an automated video meteor observation system.
It will show us the precise distribution of actual Earth colliding objects.
....

という結論にしました (少し言い過ぎですが、来年に向けて勢いをつけている気持なので、お許しください)。

で、存在の確からしさについては、最近の "ヒッグス粒子の存在確率は5σの外" というような表現がかっこいいと思うので、
あとは 流星群を表現する空間の定義とその中のクラスタの存在確率を計算する方法を考える必要があると思っているわけです。

できるかできないか分からないですが.....
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