上田昌良
登録日: 2005.02.07 記事: 3090 所在地: 大阪府
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日時: Fri Mar 02, 2018 11:06 am 記事の件名: 2018年1月12日3:48:33の長経路流星はアースグレージングでなかった |
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長経路流星の軌道計算結果
=2018年1月12日3:48:33(JST)出現、絶対光度-0.5等=
報告者:上田 昌良 (Masayoshi Ueda)
(1) 概要
表題の流星が2カ所で同時観測された。この流星は軌道計算の結果、その実経路長が188.0 kmもある長い流星だった。その継続時間は7.2秒もあった。このように経路も時間も一般の流星よりも異常に長い流星はアースグレージングを疑ってみたくなる。今回の流星は発光点(写り始め)の高さが102.1 kmで、消滅点(写り終わり)が98.6 kmだった。発光点側の突入角が1.7°と浅く、もう少し大きい流星物質だったらアースグレージングの流星になっていたと思われる。今回の観測から得られた結果ではこの流星はアースグレージング流星ではなかった。
(2) 観測地
この流星は2カ所で同時観測された。その撮影者は、横道順一氏(岡山県、M18003)と上田昌良(大阪府、M18004)だった。2カ所共、ワテックカメラにて動画で撮影されたものだった。
(3) 実経路
今回の同時流星は、M18003で発光点側が写っており、M18004側で消滅点側が写っていた。流星の位置測定はM18003について、撮影者自身がUFOAnalyzerV2で自動測定した。M18004は流星像が暗くUFOAnalyzerV2の自動測定で11カ所しか測れなかった。それで、同ソフトで手動測定をした。このときには流星の明るさが測れない。これらの流星データでorbit3.basで上田が軌道計算をした。
この結果、この流星の発光点での初速が27.3 km/s±3.0 km/sと遅い速度だった。それにもかかわらず発光点の高度が102.1 kmと高かった。消滅点側になっても流星の速度は明確な減速がみられず、26.5 km/s±2.1 km/sで飛行していた。消滅点側では高度が98.6 kmになっていたが、このとき流星は地表とほぼ平行に飛行していた。もう少し飛行していたなら観測から得られる高度が高くなり、アースグレージング流星となっていたところだった。
まとめ
今回の長経路の流星は、突入角が1.7°と浅く、実経路長が188.0 kmと長かったが、アースグージング流星となるには実経路が短すぎた。また、M18003の発光点側の流星は3:48:33から写り始めていたが、M18004の消滅点側の流星は写り出したのが3:48:37で4秒の差があった。これだけの大きな差があると、通常ではUFOOrbitV2で同時流星との判定ができない。今回のように変わり種の流星があれば、積極的に情報交換をする大切さを認識した。
(5) 謝辞
今回の長経路流星のデータ等を快く提供していただいた横道順一氏にお礼申し上げます。
※もう1つ、横道氏との間に長経路流星があります。時間をみつけて計算をしてみます。しばらくお待ち下さい。
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もうちょっと長ければアースグレージング流星となることろでした。 |
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実経路のようす。1カ所は発光点側、もう1カ所は消滅点側が写った。 |
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実経路が188.0 kmと長い飛行にもかかわらず明確な速度の減速がみられなかった。 |
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撮影地:大阪府羽曳野市。西向き4mmワテックカメラ |
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