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2025. 9. 5-6 関東地方東方沖の太平洋上で巨大ジェット１イベント、スプライト５イベント

2025. 9. 5　台風15号が四国に上陸し、その後紀伊半島から本州南岸を通過しました。強い南風にのって雨雲が太平洋岸に来襲し、各地に非常に強い雨、竜巻をもたらしました。
その後、夕方には台風は太平洋上へ抜けましたが、台風の周囲の雨雲は海上で多くの雷を発生させ、巨大ジェット１イベント、スプライト５イベントが観測されました。

発生時刻：　21:09:56　22:45:41　22:47:17　22:51:39　23:13:54　23:26:47
発生場所：　関東地方東方の太平洋上空

一般に巨大ジェットはその出現で４つのステップを経ると言われています。
　第１段階：　Leading Jet 雲頂部でのリーダーの出現、上空への進展
　第２段階：　Fully Developed Jet　主発光の展開完了状態
　第３段階：　Trailing Jet　主発光が衰弱した後（または衰弱中に）、低空から新規に発光が上昇する
　第４段階：　Final leader　Trailing Jet の消滅後、発生箇所の雲頂部分にリーダー状の発光が出現する

その中でも第３段階の「Trailing Jet」は巨大ジェットの大きな特徴で、スプライトによく似た樹木状、キャロット状などの主発光の後に、その軌道を追うように下から新たな発光が上昇します
（主発光の「後を追う」事から Trailing jet と呼ばれています）。この発光の出現の有無がイベントがスプライトなのか？巨大ジェットなのか？の判断材料にもなっています。

今回のイベントの時系列映像を見ると、 Leading Jet は見られなかったものの、キャロットスプライトによく似た明るい主発光が長時間（11 フレーム。約 180 ms）継続しました。

主発光が消える前に Trailing Jet （主発光の後を追う）が下から出現しています。

そしてさらに興味深いのは、最初の Trailing Jet が消えた後に再び Trailing Jet が出現し、上昇しながらかなり強く発光している事です。
通常 Trailing Jet は一回のみで、Trailing Jet が複数回出現する巨大ジェットは文献などでもほとんど見た事がありません。もしかしたら巨大ジェットが短い間隔で２回発生しているのかもしれませんね。
そんな訳で、今回のはかなり珍しい巨大ジェットだと思います。

夏季の雷雲ではその発雷回数に対してスプライトの発生率が低い事が知られていますが、その代わりに発達した雷雲上で巨大ジェットやブルジェット／ブルースターターのようなレアな現象が多く発生します。
久し振りの TLE 撮影で巨大ジェットがキャプチャー出来てラッキーでした。
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