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火球の初速の決定方法

 
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投稿者 メッセージ
SonotaCo
Site Admin


登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Tue Aug 11, 2020 12:26 pm    記事の件名: 火球の初速の決定方法 引用付きで返信

大火球で、正確な初速とその誤差を計算することは親天体候補の絞り込みにかかわる重大な問題です。
現在、習志野隕石火球について、色々なご意見を頂き、色々な方法を試しているので、メモしておきたいと思います。ご意見あれば、お願いします。

現状で私が最も精度が高いと考えている決定方法は以下です。
以下は昔からの火球瞬時位置決定と隕石落下位置決定に使用している FBIというプログラムです。
これは、観測と最も誤差が小さくなるような経路線を決め、線上の移動として速度を測るものです。

まず、火球の位置を始点からの進行方向の移動距離 Lとそれに垂直な成分 Dに分解し、
Dが最も小さくなるようにL方向(輻射点方向と経路平面)を決め、
L 上での移動距離と時間との関係を多項式でフィッティングし(前半は殆ど直線でOK)、
その関係式から各時刻における移動方向線上の点の位置(地心直交赤道座標xyz)を求め
そこから任意の時刻の速度を求めるものです。

指数関数でなく多項式を用いているのは、多項式の場合にはフイッティングが最小二乗法で計算できるからです。

以下では 習志野隕石火球の初速は 瞬時速度で15.18km/s、観測速度にして14.91km/s と求まっています。
(これまでのUO2などの計算結果では+/- 2km/sほど違う場合もあり、今の所この数値が一番高い精度と思いますが、確定は今しばらくお待ちください。)


問題は、この方法だと誤差の自動算出が難しい点です。
下図では開始1秒の範囲内は 14.91km/s +/- 0.01km/s ですが、この誤差範囲は近似線の滑らかさを表現しているだけで、輻射点方向誤差等の影響を含んでいないような気がして首を傾げたくなます。

最も説得力のある誤差計算は、モンテカルロ法による観測データからの誤差伝搬計算ですが、
上記処理では平面決定が手作業なので、これが使えず、なんからの他の説得力のある方法を考えたいと思うのですが....



Vinit.png
 説明:
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Vinit.png


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上田昌良



登録日: 2005.02.07
記事: 3084
所在地: 大阪府

記事日時: Wed Aug 12, 2020 9:04 am    記事の件名: Re:火球の初速の決定方法 引用付きで返信

私は火球の初速は、次の指数関数の式を解いて
この式中のbを初速としています。
うまく指数関数にフィットしない火球については、
発光点側の各フレームからの観測速度を単純平均しています。
この場合には輻射点の精度、経路長など考慮しています。
私の行っている方法はかならずしも的確でないかもしれませんが、
誤差との戦いであり悩み続けています。



V指数関数.jpg
 説明:
Whippleらの指数関数の公式
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V指数関数.jpg


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SonotaCo
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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Thu Aug 13, 2020 7:11 am    記事の件名: Re:火球の初速の決定方法 引用付きで返信

コメントありがとうございます
上田昌良 wrote:
私は火球の初速は、次の指数関数の式を解いて
この式中のbを初速としています。

この指数関数の式はどうやって解いているのでしょうか。
最小二乗法でしょうか。それとも試行錯誤的な処理でしょうか。
-------------------
データを睨んでいたら、なんとなく壁を超えるヒントが見つかった かもしれません。
サンプルの標準偏差を小さくする処理は色々あるのですが、今の問題は平均値の系統的誤差の方が遥かに大きいことにあります。
2点同時観測で、個々の観測の中のバラつきを大変小さくできても、両者の結果が合わなければ 意味がありません。
その原因を調べて減らしたいというのが当面の目標です。
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上田昌良



登録日: 2005.02.07
記事: 3084
所在地: 大阪府

記事日時: Thu Aug 13, 2020 4:35 pm    記事の件名: Re:火球の初速の決定方法 引用付きで返信

長谷川一郎先生の「流星の軌道計算と物理」の教本にあるものをプログラム化しました。
ご存じと思いますが式中のeは、2.7182818・・・です。
当時、某氏と軌道計算について楽しく苦しんでいました。



4-3速度と減速度.jpg
 説明:
コピーです。

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SonotaCo
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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Thu Aug 13, 2020 7:28 pm    記事の件名: Re:火球の初速の決定方法 引用付きで返信

上田昌良 wrote:
長谷川一郎先生の「流星の軌道計算と物理」の教本にあるものをプログラム化しました。
ご存じと思いますが式中のeは、2.7182818・・・です。
当時、某氏と軌道計算について楽しく苦しんでいました。

あ、4点で連立方程式として解くということですね。 了解しました。
写真まで上げて頂き、ありがとうございました。

全点を使って誤差を最小化する話ばかり考えていたので、この方法は想像できませんでした。
この方法は、どの点にするかで結果が変わる点で自動化は難しいと思いました。
--------------------------
現在、そもそもの計算誤差を減らす方法を模索中です。
今日、試しているのは、誤差の大きいサンプルを検出して自動的に計算から除外する方法です。
十分なサンプル数があれば、誤差を半分程度に抑えることはできそうでした。
少しは進歩しそうです。
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SonotaCo
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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Fri Aug 14, 2020 2:25 pm    記事の件名: Re:火球の初速の決定方法 引用付きで返信

SonotaCo wrote:

現在、そもそもの計算誤差を減らす方法を模索中です。
今日、試しているのは、誤差の大きいサンプルを検出して自動的に計算から除外する方法です。
十分なサンプル数があれば、誤差を半分程度に抑えることはできそうでした。
少しは進歩しそうです。

直線性誤差を大きいサンプルを自動的に除外するUA2 を作ってみました。
10サンプル以上ある経路で、直線性誤差が平均以上のサンプルを計算に使用しないようしてみました。
結果、直線性誤差そのものは半減しました。
しかしながら、直線性誤差はプロファイルからの画面内方向決定誤差と加算されて評価されるため、直線性誤差が減っても 画面内方向決定誤差が同オーダであるため、全体の誤差は殆ど減りませんでした。
考えてみれば、当然ですが、昔から期待していた処理だったので、効果が見えないのは残念でした。 Sad

こうなってくると、誤差の本丸は 画面内の方向決定誤差、つまりプロファイル誤差です。習志野隕石火球の場合には、近距離観測の KNB と TKxがともに広角レンズ だったので、その画面内の方向決定誤差が 現在の誤差の主要因のようです。
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司馬康生



登録日: 2005.11.26
記事: 2161
所在地: 明石市

記事日時: Sun Aug 16, 2020 5:01 pm    記事の件名: 飛行距離で誤差を最小化する方法 引用付きで返信

この内容は、SonotaCoさんには私信でお送りしていた続きでもあります。

2010年の流星会議で(上田さんと連名で)新しい速度決定法を発表させて頂いておりました。
それはTV観測に適応して写真より時間分解能が高く、比して空間分解能が低い特徴に合わせるコンセプトを含んだものと考えています。
その方法をそのまま適用するには、試行錯誤を含むため不可ですからいくつかの変更を行います。
流星速度は一定で変化しないと仮定します。
そのためには、流星の発光点から一定時時間内、もしくは一定飛行距離ないしは一定高度幅でデータを切ることを要します。
その上で、以下のコンセプトを生かした提案です。
1.短い時間間隔に対する速度を求めたときに、分母の距離誤差が拡大されて精度が出ない。
これを避けるために、時間に依存しない飛行距離で誤差最小とすることで、時間分解能が高いTV観測向きの速度決定ができるだろう。
2.多数の測定点が使えるTV観測である。測定点が増えれば(1/ルートn)に沿って誤差が減るはずである。最大限使おう。

数式をテキストで打つのが面倒なので、見苦しい手書きですがご容赦ください。
それなりに揃った軌道の群流星で、速度のばらつきを見ることができると精度の見通しが立つかと思っています。
誤差の評価計算に,少々不安があります。(m>=3 の条件は抜けてます。)

※SonotaCoさんへ
Lがvの関数かも、と懸念し確認すると申し上げましたが、
Lnmと表現した数値は実測値なので、偏微分の対象では無いですね。
大丈夫でしょう。



Imgp8400.jpg
 説明:
見苦しくてすみません。
 ファイルサイズ:  616.25 KB
 閲覧数:  4659 回

Imgp8400.jpg


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SonotaCo
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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Mon Aug 17, 2020 11:37 am    記事の件名: Re: 飛行距離で誤差を最小化する方法 引用付きで返信

司馬康生 wrote:
SonotaCoさんへ
Lがvの関数かも、と懸念し確認すると申し上げましたが、
Lnmと表現した数値は実測値なので、偏微分の対象では無いですね。
大丈夫でしょう。

Li から Lnm になって メールで頂いた内容より進歩したと思います。
Liだと 最初の観測を沢山使うことになって不公平と思っていましたが、Lnm だとより平等になったと思います。Lnmを使う方法は昔からあったような気がしますが、最小二乗法で解くのは初めてのような気がします。
二乗誤差は誤差の大きいものに引っ張られるからただの平均の方がいいという話もあり、平均だと、中間点の誤差は皆相殺されているから意味がないとか、普通にt-Lのグラフで最小二乗近似直線を求めればよいとか... 色々な噂があり、この辺はいずれ実際に調べてみたいと思っています。

私の方はこれらの処理方法はさておいて、その元となっている経路の決定誤差を追いかけています。多点観測で、各々から計算した速度が一致しないのが、結果に対して1桁大きな誤差となっているように感じています。
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SonotaCo
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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Mon Aug 17, 2020 5:12 pm    記事の件名: Re: 飛行距離で誤差を最小化する方法 引用付きで返信

司馬康生 wrote:
数式をテキストで打つのが面倒なので、見苦しい手書きですがご容赦ください。

気になったので、プログラム組んでみましたが、この式は 時刻-距離プロット 上の 回帰直線を決める最小二乗法と全く同じ式のようです。
プログラム動かしてみましたが、当たり前ですが、結果は同じでした。
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SonotaCo
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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Tue Aug 18, 2020 9:13 am    記事の件名: 進捗 引用付きで返信

速度誤差調査、現状を報告しておきます。
やったことは、
観測データをサンプル毎に誤差を調べて、誤差の大きいものを自動除外する
時刻、輻射点、開始点 を自動調整して誤差最小値を自動的に求める
開始部速度は開始から2秒以内の部分について以下の方法で測ってこれを比べる
括弧内がその計算値です。
1. 観測点別の全経路長/時間 (KNB 15.593km/s TKx 16.104km/s)
2. 観測点別のt-L プロットの回帰直線の傾き( 司馬さんの方法と同じ) (KNB 15.602km/s, TKx 16.125km/s)

流星経路を直線として、各サンプルの経験位置とその直線との距離の平均 D は この例では113mでした。 このデータは爆発部を少し含んでいるので大き目です。爆発部を除くと50m以下にできました。
時刻毎の高度については2つの観測点の差の標準偏差は237mでした。Dより大きい理由はよく分かっていません。

現状での問題は、観測点による差が0.5km/sほどある点です。これが限界か、まだ何か要因があるか首を傾げている状況です。



trajectory.png
 説明:
開始部の経路は2観測でこの程度一致しています。
 ファイルサイズ:  63.13 KB
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trajectory.png



planeasjust.png
 説明:
平面決定の様子
 ファイルサイズ:  47.29 KB
 閲覧数:  4597 回

planeasjust.png


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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Wed Aug 19, 2020 6:56 pm    記事の件名: 引用付きで返信

直線性誤差の大きいサンプルを自動的に検出して無視するアルゴリズムを組み込んだUA2で、Tokyo8で8/10-15に記録した2000クリップ程を処理して、Perの輻射点の集中の様子やVoのバラつきを見てみました。(皆さんの同時観測データはそのまま使いましたので、完全な比較ではないのですが、Pairモードで計算させたので改善があれば見える筈でした)
結果は、殆ど効果ありませんでした。Ra Dec Vo ともわずかに バラつきが減りましたが、改善は1%ほどでした。
やはり 直線性誤差より、プロファイルによる方向測定誤差の方が支配的なようです。

一方、モンテカルロ法の誤差計算では、Voの誤差計算部分で、大きなバグが見つかり、速度と日心軌道要素、Vo、Vg, a, Pなどの誤差が一気に1桁小さくなりました。これでようやく 火球データのまとめができそうです。
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SonotaCo
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登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Thu Aug 20, 2020 6:20 pm    記事の件名: 結局はUA2分析時の問題でした 引用付きで返信

習志野隕石火球で、同時観測の2地点から見た観測速度の差が大きい件は、結局の所、個々の分析でどれだけ誤差の大きいサンプルが入ってしまうかという問題でした。
マスクによって 分析に使用する領域を限定するだけでは誤差は減らず、原因が分からなかったのですが、 分析の開始終了フレームを明示的に設定したら 余分な誤差の大きいサンプルの混入がなくなりました。これは時間的に離れた爆発が遠い領域の光度を変えているためでした。

この他、V261のサンプル自動選択等により、最終的には KNBとTKxの両者から見た観測速度の差が0.3km/sほどにまで小さくなりました。
今回は、両者とも広角レンズであり、距離も違い、雲の影響も大きいことから、これが限界と感じました。
この結果、軌道要素にして a=1.4449 +/- 0.0099 e=0.405 +/- 0.0056 q=0.8586 +/- 0.0024 という誤差計算結果になりました。
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