SonotaCo Site Admin
登録日: 2004.08.07 記事: 12671 所在地: 139.67E 35.65N
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日時: Fri Jan 22, 2021 6:42 am 記事の件名: 流星の等級決定上の問題点(メモ) |
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昨今の火球のマスコミ報道を見て、少し気になったので、10年以上前に考えたことですが、今後の参考になればと思いメモしておきます。
ビデオ映像からの流星の等級測定には以下の問題があり、色々勘違いしやすい状況です。
これまでの開発で問題となった誤差要因や今後解決すべき課題をとりあえず、列挙しておきます。
-- ビデオ映像からの流星の等級測定上の解決課題 --
飽和の問題(同じ大きさに映っても明るさは全く違う)
スペクトル感度の問題(赤外を含むか否かで映りや見た目は全く違う)
流星像の変化の問題(経路や爆発のどの時間範囲の等級かという問題)
-- 流星の輝度の時間変化の問題
-- 露光時間と時間分解能の問題
-- ピクセル速度の問題
-- 面積積分と飽和の問題
光源の問題
-- 周囲の大気の発光の問題
-- 痕や破砕の問題
-- 大気による散乱光の問題
カメラの問題
-- 色分解フィルターの問題
-- 赤外カットフィルターの問題
-- ローパスフィルターの問題
-- カメラのホワイトバランスの問題
-- ガンマやHDRなどの非線形変換問題
-- ノイズ除去などカメラの内部処理の問題
ビデオフォーマットの問題
-- 輝度ダイナミックレンジと分解能の問題
-- 色情報の扱いの問題
-- ビデオ圧縮の問題
バックグラウンドノイズの問題
レンズの周辺減光の問題(UA2の測光方法だと問題が緩和されていることが最近分かりました)
絶対等級と観測等級が混乱する問題
というわけで、たとえば、あるカメラで"上弦の月と同じ位に映っていたから-10等位"と数値化するのは相当あやしく、
現状では明るい火球の場合、科学的に表現するなら、最低でも5等程度の誤差を見込んだ表現が必要だと思ったわけです。
また、最低限、観測等級か絶対等級かがわかるような表現(例えば、"何処から見て" とか)も必要と思います。
ちなみに、最近研究されて"流星の等級の定義ができた"等の話があれば、是非お知らせください。
これを科学的に研究するなら、例えば、NDフィルターを使って減光し飽和しないようにしたカメラでサイドバイサイドで 月と流星を観測するとか
赤外フィルターの有無による流星像の比較 ( ITOさんならできそうですが...) などできることがあると思います。 |
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